ホテル双葉
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やまん坊さとん坊フタバちゃんお客さんにも人気があるので、宿はいつも大繁盛。実は、やまん坊もそんなフタバちゃんに一目惚れ。人里近い場所にお風呂を作ってもらったのには、わけがあったのです。「オレのお風呂、フタバちゃんも気にいってくんないかなぁ〜…」しかしこれを見て、負けてなるものか!と、対向したものがおりました。「里の神」のひとり息子、「さとん坊」でした。里の神は山の神と友だちでしたが、自分のこどもが一番かわいいのは、どこの世界も同じようです。双葉の裏山に温泉を湧かし、「さとん坊の里の湯」を作ってあげました。「里の湯は若返るよ〜っ!」「山の湯のほうが気持ちいいよ〜っ!」「フタバちゃん、こっちだよね〜っ?」ふたりが張り合ううちに、お風呂の数はどんどん増えてゆきます。いつからかこの山の湯・里の湯を「やまんぼちゃ」と呼ぶようになりました。…それを見ていたフタバちゃんは大笑い。ふたりから少し離れたところ、「展望大浴場 空の湯」で湯気がゆっくりと立ちのぼり、やがて山並の雲になってゆくのを見つめていましたとさ…ヨイヨイ     

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